雪害にはその地域住民だけでなく、観光などで豪雪地帯を訪れる多くの人々が被害に遭っています。雪害の代表的な例として、雪崩、除雪中の転落事故などの豪雪地帯特有の災害のほか、路面凍結などによる交通事故や歩行中の転倒事故など、豪雪地帯以外でも発生する災害もあります。雪害に遭わないためにも、雪に対する正しい知識を深めて、いざ自分が被害に遭った時に使える対策を知っておくことが大切です。
雪害では、どのような災害が起こるのか
図のように日本の国土の約2分の1以上が豪雪地帯となっています。ここでは、雪害の代表的な5つのケースを解説していきます。
1.除雪中の事故
2.車による雪道での事故
3.歩行中の雪道での事故
4.雪のレジャーでの事故
5.雪崩による事故
1.除雪中の事故(雪下ろしや雪かき中の事故)
雪害による事故の約7割を占めるのがこの除雪中の事故です。さらに死者の多くは除雪中の事故によるものです。除雪中の事故は、自宅など建物の屋根雪下ろしや雪かき等の作業中に発生しており、中でも高齢者の比率が高いことが特徴です。
2.車による雪道での事故
降雪時、降雪後には路面の凍結や視程障害(吹雪等による視界不良)による事故に注意が必要です。
3.歩行中の雪道での事故
冬期間は豪雪地帯に限らず、雪が少ない地域でも、積雪・凍結を原因とする転倒災害が多く発生しています。転倒災害件数は、降雪量にほぼ比例しており、例年1~3月に集中して発生しています。事故が多く発生している滑りやすい場所を確認しておきましょう。
4.雪のレジャーでの事故
雪のレジャーでの事故は、自分自身の油断や、状況判断・認識の甘さから発生するものが目立ちます。
5.雪崩による事故
雪崩とは、「斜面上にある雪や氷の全部又は一部が肉眼で識別できる速さで流れ落ちる現象」を言い、積雪が崩れて動き始める「発生区」と、発生した雪崩が通る「走路」、そして、崩れ落ちた雪が積み重なる「堆積(たいせき)区」からなっています。また、雪崩によって堆積した雪を「デブリ」と呼びます。
携帯電話やスマートフォンに係る位置情報の活用
総務省は、「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」において、救助を行う機関の要請による位置情報の取得について規定しています。
除雪事故に遭わないために ~命を守る除雪中の事故防止10箇条~
除雪中の事故の危険を理解し、安全な対策を講じることが、事故を防ぎます。また、事故は除雪作業に対する慣れや過信、油断が事故を招いています。除雪作業前に事故防止のポイントを確認しましょう。
(1)作業は家族、となり近所にも声かけて2人以上で!
(2)建物のまわりに雪を残して雪下ろし!
(3)晴れの日ほど要注意、屋根の雪がゆるんでる!
(4)はしごの固定を忘れずに!
(5)エンジンを切ってから!除雪機の雪詰まりの取り除き
(6)低い屋根でも油断は禁物!
(7)作業開始直後と疲れたころは特に慎重に!
(8)面倒でも命綱とヘルメット!
(9)命綱、除雪機など用具はこまめに手入れ・点検を!
(10)作業のときには携帯電話を持っていく!
内閣府の防災情報ページを参照に書かせて頂きましたが、家の除雪中の事故が非常に多いです。特に今年は各地で過去最高の積雪量を記録するほどです。いつどこで何が起こるかはわかりませんので、万全の対策をとっておくことが大切ですね。
自宅が雪の被害に遭った時の火災保険の使い方(申請方法)
大雪や雪崩、落雪、積雪により家屋や家財に被害が生じた場合は、火災保険の「雪災補償」で補償され、以下のような事例では火災保険で補償を受けることができます。
火災保険の対象となる雪の被害例
雪の被害
- 屋根が雪の重みで壊れた、変形した
- 積もった雪の圧力で窓ガラスが割れた
- 隣家からの落雪で自宅の壁や塀が壊れた
- カーポート(車庫)、物置などが大雪の重みによって壊れた
- アンテナや雨どい、太陽光パネルなどが大雪によって壊れた
- 給湯器、室外機が大雪のせいで故障した
- 近くの山や爆弾低気圧によって発生した雪崩による建物の被害
- 大雪で雨どいが歪んだ
- 積雪によりフェンスや外壁が壊れた
凍害被害
よく気づかないのがこの凍害被害で、凍害とは 水分を含んだ外壁で水分が凍ることで起こるトラブルで、外壁がひび割れたり膨張したりして耐久性が落ちることを指します。外壁が水分を含んでしまう主な原因は、雨や雪によるもで、長年にわたる凍結と融解の繰り返しによって外壁が徐々に劣化する現象のことです。
雪害による火災保険の保険金の請求方法
実際に雪災事故が発生し損害を受けたときには、どのような手続きが必要になるのでしょうか。火災保険の一般的な保険金の請求方法とその流れを解説します。(申請方法)
申請手順は下記の1~5の順番になります。
- 保険会社へ連絡して事故受け付けをする
- 必要書類を受けとる
- 必要書類を揃えて提出する
- 鑑定人による調査を受ける
- 保険金が支払われる
1.保険会社へ連絡して事故受け付けをする
契約者は、保険会社に雪災で損害があったことをWEBまたは電話にて連絡します。連絡する内容は、契約者名や保険証券番号、事故の日時・場所、保険の目的、事故の状況などが一般的です。事故の状況や原因などはわかる範囲で問題ありません。【申請書類の送付を依頼】
2.必要書類の受取り
保険会社に連絡をすると、保険金の請求に必要な書類などについての案内が送られてきます。【保険金請求書と事故状況証明書のフォーマット】
3.必要書類を揃えて提出する
必要書類は下記の1~4になります。全て揃えて保険会社から取り寄せた封筒で提出します。保険金請求書は、保険金の申請や口座の指定をするための書類です。不備がないように記入してください。罹災証明書に関しては各自治体、保険会社によって請求されないこともあります。事故状況証明書は、損害状態や原因などを保険会社へ報告するための書類です。損害状況を具体的にイメージできるように記載しましょう。修理見積書は、修理の金額や修理に使用する素材や、単価などが記載された書類です。修理会社によって総額が異なる場合があるので、様々な修理会社で相見積もりを行い、金額の算出方法やその正当性について比較検討しましょう。損害物の写真は、損害状況を裏付けるための提出物なので、対象が鮮明に映るよう撮影してください。
- 保険金請求書(各保険会社指定の用紙)
- 罹災証明書(罹災の事実や被害の程度を証明するもの。被害に遭った場所を管轄する消防署または消防出張所で交付)
- 事故状況証明書(被害の程度がわかる写真や画像データ)
- 修理業者などからの修理見積書や報告書
被害の程度が大きく、保険金請求額が高額になる場合は、印鑑証明書や建物登記簿謄本(保険の対象が建物の場合)などの提出が必要になることもあります。
4.保険会社の鑑定人による被害の調査
必要書類の提出後には、保険会社から派遣された専門の鑑定人によって、事故原因や損害額の検証、状況調査が行われます。調査結果と契約者から提出された書類や画像データなどに基づき、保険金支払いの審査・認定を行います。補償の対象と認定されると、損害保険金の金額が確定します。
5.保険金の支払い
申請者のもとに鑑定人の調査、検討の結果、確定した保険金額の通知が届くので、問題がなければ同意して保険金を受け取ります。保険金が指定した金融機関に1週間~4週間ほどで入金されます。なお、保険金の使用用途は特に指定されることはありませんので、損害箇所の修理以外にも自由に使うことができます。
雪害による火災保険の申請には【火災保険申請サポートNAVI】をご利用下さい
申請サポートの必要性
損害保険会社側には”損害保険登録鑑定人”がいますが、被災者側の立場にたったサポーターが存在しません。請求をする準備段階である建物損傷/損害調査、また被災状況の確認資料作成等を親身になってアドバイスしてくれる専門家が不在です。そこで被災者の立場にたって一連の保険請求業務をサポートしてくれる存在が必要になってきます。 損害箇所が補償の対象か、保険金がいくらかを判断するのは、保険のプロである保険会社です。素人がプロを説得して保険金をもらうという時点で、審査落ちのリスクも高く、加入者側がかなり損をしやすい構造です。
雪害に遭った際に火災保険が適用される場合とされない場合について解説しました。損害の直接的な原因が雪災であるか否かを基準として、補償対象かどうか判断されます。雪災による直接的な損害は補償対象になりますが、雪解けによる洪水などの2次災害は補償対象外なので注意しておきましょう。保険金を受け取るためには、損害発生時の状況や要因をできるだけ具体的に保険会社へ報告することが大切です。また、補償対象となる損害でも、損害を受けてから3年以上経過すると申請資格を失ってしまう場合もあります。損害を見つけたら速やかに申請を行いましょう。
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